明治図書出版より,2冊目の単著『音楽科教育はなぜ存在しなければならなないのか―「良い音楽科教育」を構想するための目的論』が出版されます。
現段階では明治図書出版の公式オンラインストアで注文するのが一番早く発送されるようです。
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さて,簡単に読みどころを解説しておきます。
学校には当たり前のように音楽の授業がありますが、「音楽科教育ってなんのためにあるの?」「YouTubeやApple Musicで音楽を聴ける時代に学校で音楽を学ぶ意義ってあるの?」と子どもに聞かれたら、みなさんならなんと答えるでしょうか?実は、この「音楽科の存在意義」「音楽科教育が設置されている究極的な目的」に関する答えを、学習指導要領や学校教育法は示してくれていません。
にも関わず、「音楽科教育の存在意義」についての論考は現場レベルにおいてもとても重要です。当たり前ですが、「音楽科は何のために存在しているのか」という目的論的問いの伴わない授業というのは、端的に言って手段の目的化だからです。
「子どもが笑顔で歌ってるのでこれは良い授業だ」「子どもがオリジナリティあふれる曲を作ってるのでこれは良い授業だ」「知覚と感受が往還してるのでこれは良い授業だ」等、多くの人が「良い音楽科教育」について論じていますが、音楽の授業の「良さ」は音楽科の目的が定義されて初めて語り得るはずです。目的が定義されていないのに手段の有効性を論じることなんてできるはずがない。このことは当たり前すぎて見過ごされてきたのだと思います。そして今回の書籍では、長谷川なりの「音楽科教育の存在意義(目的)」を(あくまで試論ではありますが)明確に示しました。
したがって、想定される読者層として最初に挙がるのは「良い音楽科教育」について日々関心を持っている学校の先生なわけですが、本書は必ずしも音楽科にポジティブな関心が無い方にも楽しんでもらえる内容になっています。
本書では「音楽とは何か」という問いに対して、「世界の音楽の客観的特徴とは何か」という記述的問いと「学校において音楽はどう定義されるべきか」という規範的問いを並立させている点で独自的です。これまでの音楽学は、世界の音楽の客観的特徴を捉えようと記述的問いをもって研究を進めてきました。しかし「音楽」という茫漠とした広がりを持つ現象を捉えるにはもはや記述的問いだけでは不十分です。そこで必要になるのが「音楽とはどうあるべきか」という規範的問いです。「音楽のあるべき姿を問う」というのは非常に不遜で大胆すぎるように思えるかもしれませんが、あるべき姿を問うてみることで見えてくる「音楽」の一側面もある。本書は「学校において音楽はどうあるべきか」という規範的問いを打ち立て、それに対して一つの解を示しています。音楽における規範論は、「音楽とは何か」という音楽学的問いに挑んできた方々にもきっとなんらかのヒントになると信じています。
ということで本当に気合を入れて書いたので是非読んで欲しいです。Amazonからも買えますが、発送のタイミングは明治図書出版の公式ホームページから注文した方が早いみたいです。よければ目次だけでも見ていってください。
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